「公務員でもサイド FIREはできるのだろうか?」
資産形成をしている公務員なら、一度は考えたことがあるかもしれません。
結論から言うと、公務員でもサイド FIREを目指すことは可能だと私は考えています。
むしろ、毎月安定した給与が入ってくる公務員は、サイド FIREに向けて資産を作る期間とは相性がいいです。
一方で、公務員には兼業や働き方に一定の制約があります。
そのため、民間企業を辞めて週3日だけ働く、フリーランスとして自由に仕事を受ける、といった一般的なサイド FIREとは少し事情が違います。
ただし、
「公務員は副業禁止だからサイド FIREなんて無理」
と考えるのも正確ではありません。
不動産賃貸や農業など、公務員でも一定の条件でできるものがあります。
さらに近年は、公務員の兼業を柔軟に認める方向へ制度も動いています。
この記事では、自治体で長く働いた経験も踏まえながら、公務員がサイド FIREを目指す現実的な方法を考えてみます。
※この記事では主に一般職の地方公務員を想定しています。国家公務員と地方公務員では制度が異なり、地方公務員についても所属する自治体によって兼業の許可基準が異なります。
そもそもサイド FIREとは?
サイド FIREとは、投資資産だけで生活する完全なFIREとは違います。
資産から得られるお金と、自分で働いて得るお金の両方で生活するスタイルです。
- 資産+週3日の仕事
- 資産+アルバイト
- 資産+フリーランス
- 資産+小さな事業
といった働き方が考えられます。
完全FIREよりも必要な資産額を抑えやすいのが大きな特徴です。
例えば、年間300万円の生活費が必要でも、自分で年間150万円を稼げれば、資産から補う必要があるのは残りの150万円です。
私は完全に仕事を辞めたいというより、仕事への依存度を下げたいと考えています。
「今の仕事を辞めたら生活できない」
そんな状態から少しずつ離れるための手段として、サイド FIREを目指しています。

「働かないこと」よりも、「働き方を自分で選べる状態」に近づくことが、私にとってのサイド FIREです。
公務員はサイド FIREの「準備」と相性がいい
一見すると、公務員はサイド FIREに向いていないように思えるかもしれません。
私はむしろ、サイド FIREするための資産を作る時期には向いていると思っています。
その理由の一つが、収入の見通しを立てやすいことです。
毎月一定の給与があり、長期的な積立計画を立てやすい。
急激に収入を増やすことは難しくても、毎月コツコツと資産形成を続けるには大きなメリットがあります。
例えば、
- NISAなどを利用して長期投資を続ける
- 給与が増えても生活水準を上げすぎない
- 毎月一定額を先取りして投資する
- 自分の生活費を把握する
といった方法です。
派手ではありません。
しかし、10年、20年という長い期間で考えると、この積み重ねは大きくなります。
私自身も、公務員として働いていた頃から資産形成を続けてきました。
振り返ると、毎月給与を受け取りながら投資を続けられたことは、その後のキャリアを考えるうえでも大きかったと思っています。

公務員時代は「毎月淡々と積み立てる」という資産形成がやりやすかったです。今になって、そのありがたさを感じています。
「公務員は副業禁止」は少し違う
公務員がサイド FIREを考えるとき、避けて通れないのが副業・兼業の問題です。
よく「公務員は副業禁止」と言われます。
ただし、これは少し単純化された表現です。
地方公務員法第38条では、任命権者の許可を受けずに、営利企業の役員になったり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業や事務に従事したりすることを制限しています。
つまり、あらゆる副業が法律で一律に禁止されているというより、一定の兼業について許可を必要とする仕組みになっています。
さらに、地方公務員の兼業については近年動きがあります。
総務省は2025年6月11日、「地方公務員の兼業に関する技術的助言」を全国の自治体に通知しました。
これは、法律を改正して副業を全面解禁したものではありません。
従来の許可制を前提としながら、各自治体に対して、具体的な兼業許可基準を設定し、公表することなどを促したものです。
背景には、職員の自律的なキャリア形成や自己実現、人口減少による地域の担い手不足などがあります。
「公務員だから副業はすべてダメ」で終わるのではなく、公務に支障がないものについては、ルールを明確にしたうえで判断していこうという流れになっています。
出典:地方公務員法第38条、総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」(2025年6月11日)

私が公務員になった頃と比べても、「公務員と副業」をめぐる環境は少しずつ変わってきていると思います。
公務員でも不動産や農業ができる場合がある
公務員であっても、給与以外の収入源を一切持てないわけではありません。
例えば、国家公務員については、以前から一定の条件のもとで不動産賃貸や農業などが認められてきました。
ただし、規模が大きくなれば「自営」として扱われ、承認が必要になる場合があります。
公務員はどこまで不動産投資できる?「5棟・10室」の基準
公務員の不動産投資について調べると、よく、
「5棟・10室まで」
という数字を目にします。
この数字自体は間違いではありません。
ただし、注意したいのは、「5棟や10室を超えたら不動産を所有してはいけない」という意味ではないことです。
2026年4月現在、国家公務員については、次の規模以上の不動産賃貸などを「自営」に当たるものとして取り扱います。
| 種類 | 自営として扱われる主な基準 |
|---|---|
| 戸建てなどの独立家屋 | 5棟以上 |
| アパート・マンションなど | 10室以上 |
| 土地 | 賃貸契約10件以上 |
| 駐車場 | 10台以上 |
| 建築物・機械式駐車場 | 台数にかかわらず対象 |
つまり、例えばアパートを10室以上貸している場合には、国家公務員では自営として扱われ、承認が必要になります。
一方で、5棟未満・10室未満だからといって、どんな不動産賃貸でも必ず無条件でできるという意味でもありません。
不動産の用途や規模、賃貸料収入なども判断基準になります。
2026年4月から「年間500万円」の基準も見直された
公務員の不動産投資について、以前はよく、
「5棟10室未満、家賃収入500万円未満なら大丈夫」
と説明されていました。
しかし、国家公務員については2026年4月に制度が見直されています。
現在は、不動産または駐車場の賃貸料収入が年額1,000万円以上の場合も、自営として扱われる基準があります。
ただし、建物の賃貸だけを行っている場合には、賃貸料収入が1,000万円以上であっても、建物の床面積の合計が600平方メートル未満であれば、この収入基準だけでは自営に該当しない取扱いになっています。
そのため、昔からよく言われていた「年間500万円」という数字を、そのまま2026年現在の基準として使うのは正確ではありません。
「5棟・10室」は禁止ラインではなく、一定規模以上になると承認が必要になる基準と考える方が分かりやすいでしょう。
なお、自営に該当する不動産賃貸であっても、直ちに禁止されるわけではありません。
国家公務員の場合、
- 職務との間に特別な利害関係がない
- 管理業務を不動産管理会社などに委託し、本業に支障がない
- 公務の公正性や信頼性を損なわない
といった基準を満たせば、承認を受けて行える仕組みになっています。
出典:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」(2026年4月1日施行の現行基準)
地方公務員は自治体ごとの基準を確認する必要がある
ここまで紹介した「5棟・10室」などは、国家公務員について人事院が定めている基準です。
すべての地方公務員に全国一律でそのまま適用される数字ではありません。
地方公務員については、地方公務員法第38条をもとに、所属する自治体が具体的な許可基準を定めています。
国家公務員と似た基準を採用している自治体もありますが、実際に不動産投資をする場合は、自分の所属先の規則や人事担当部署に確認する必要があります。
農業も一律に禁止されているわけではない
農業についても同じです。
国家公務員では、農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏などについて、大規模に経営され、客観的に営利を主目的とすると判断される場合には自営として扱われます。
逆に言えば、農業だからすべて禁止されているというわけではありません。
サイド FIREを考えるうえでは、株式や投資信託だけでなく、不動産や農業などによって収入を得るルートも制度上は存在します。
ただし、規模を大きくする場合には兼業・自営のルールを確認する必要があります。

「5棟・10室までしか不動産投資できない」と思っていましたが、正確には「そこから自営として承認が必要になる」という基準です。
公益性のある副業なども認められる流れに
さらに興味深いのが、最近の公務員の兼業制度の変化です。
国家公務員については、2026年4月から自営兼業制度が見直されました。
新たに、
- 職員が持つ知識や技能を生かした事業
- 社会貢献につながる事業
についても、一定の承認基準を満たせば自営兼業が可能になっています。
人事院が示している事業のイメージには、ハンドメイド品の販売、スポーツや芸術の教室、地域振興イベント、高齢者の買い物支援などがあります。
もちろん、何でも自由にできるようになったわけではありません。
職務との利害関係がないこと、本業に支障を生じさせないこと、公務の公正性や信頼を損なわないことなどが求められます。
それでも、公務員の兼業は「すべて禁止」と考えるのではなく、一定のルールの中で活用する方向へ少しずつ変わっていると言えます。
地方公務員についても、2025年の総務省通知で、各自治体が具体的な兼業許可基準を設定・公表することなどが求められています。
ただし、国家公務員の2026年4月の制度変更が、そのまま地方公務員にも適用されるわけではありません。
地方公務員が実際に兼業を考える場合は、所属する自治体の規則や人事担当部署への確認が必要です。
出典:人事院「自営兼業制度の見直しについて」(2026年4月1日施行)、総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」

「公務員だから給与以外の収入は一切持てない」というイメージは、実際の制度とは少し違います。ただし、自己判断で始めないことは大切です。
それでも「公務員のままサイド FIRE」は簡単ではない
ここまで読むと、
「それなら公務員のままサイド FIREすればいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、ここには少し難しさがあります。
副業できることと、サイド FIREできることは同じではないからです。
一般的なサイド FIREでは、資産が増えてきたら労働時間を減らすことができます。
例えば、
週5日勤務
↓
週4日勤務
↓
週3日勤務
といった働き方です。
正社員を辞めて、アルバイトやフリーランスなど、自分に合った働き方を選ぶこともできます。
一方、公務員の場合、
「資産が増えたので、来月から週3日勤務にします」
という働き方を自由に選べるわけではありません。
兼業についても一定の許可や条件があります。
私はここが、公務員のサイド FIREを考えるうえで一番大きなポイントだと思っています。
公務員は「サイド FIREするまで」が強い
そこで、公務員のサイド FIREを2段階に分けて考えてみます。
第1段階:公務員として資産を作る
まずは、公務員として働きながら資産を作ります。
- 毎月の生活費を把握する
- NISAなどを利用して長期投資する
- 生活防衛資金を確保する
- 生活水準を上げすぎない
- サイド FIRE後に必要な生活費を考える
この時期は、公務員の安定した給与が大きな武器になります。
第2段階:資産ができたら働き方を選ぶ
ある程度の資産ができれば、給与だけに100%依存する必要性は少しずつ下がります。
そこで、
- そのまま公務員を続ける
- 認められる範囲で兼業する
- 別の仕事へ転職する
- 収入は下がっても負担の少ない仕事を選ぶ
- 退職して小さく働く
といった選択肢を比較できるようになります。
つまり、公務員の身分のまま無理にサイド FIREを完成させる必要はありません。
公務員の安定性を利用して資産を作り、その資産によって将来の働き方を自由にする。
私は、この順番がかなり現実的だと思っています。

公務員の強みは「一生公務員でいられること」だけではありません。安定した給与があるうちに、将来の選択肢を作れることも大きな強みだと思います。
「安定しているからサイド FIREは必要ない」とも限らない
「公務員なら安定しているのだから、定年まで働けばいい」
という考え方もあると思います。
もちろん、公務員という仕事が自分に合っていて、このままずっと働きたいのであれば、それも良い選択だと思います。
ただ、私は長く自治体で働いたあと、民間企業への転職も経験しました。
その中で感じたのは、今の自分が10年後も同じ働き方を望んでいるとは限らないということです。
仕事への考え方が変わることがあります。
住みたい場所が変わることもあります。
収入よりも自由な時間を大切にしたくなるかもしれません。
反対に、一度外に出てみて、公務員という働き方の良さに気付くこともあると思います。
そんなときに資産があると、選択肢が増えます。
資産があれば働かなくてよくなる、という単純な話ではありません。
しかし、
「この給与がなくなったら生活できないから、絶対に辞められない」
という状態からは離れやすくなります。
サイド FIREは「仕事を辞めるため」だけのものではない
私は、サイド FIREの目的は仕事を辞めることではないと思っています。
仕事を選べる状態に近づくこと。
こちらの方が重要です。
例えば資産に余裕があれば、
- 年収は下がるけれど自分に合った仕事に転職する
- 都会を離れて地方で働く
- 仕事の負担を減らす
- 興味のある仕事に挑戦する
といった選択もしやすくなります。
この意味では、公務員の安定した給与はSide FIREと対立するものではありません。
むしろ、将来の自由を作るために利用できる強力なカードだと思います。
まとめ|公務員でもサイド FIREは目指せる
公務員でもサイド FIREを目指すことはできます。
特に、毎月一定の給与を得ながら長期的に資産形成できる点は大きな強みです。
また、「公務員=副業は一切できない」という状況でもありません。
株式や投資信託による資産運用だけでなく、不動産賃貸や農業なども、条件によって行うことができます。
国家公務員の不動産賃貸には「5棟・10室」などの基準がありますが、これは「そこまでしか所有できない」という上限ではありません。
一定規模以上になると自営として扱われ、承認が必要になる基準です。
さらに最近は、社会貢献につながる活動や、自分の知識・技能を生かした兼業などについても、制度を柔軟にする動きが出ています。
ただし、公務員のまま勤務日数を自由に減らしたり、好きな仕事を自由に副業にしたりできるわけではありません。
だからこそ、私が現実的だと思うのは、
公務員として安定した給与を得る
↓
働いている間に資産を作る
↓
給与への依存度を少しずつ下げる
↓
転職・兼業・働き方の変更などの選択肢を増やす
というルートです。
サイド FIREは、「仕事を続けるか、辞めるか」という二択から抜け出すための考え方でもあります。
自分がどこで、どのくらい、どんな仕事をするのか。
それを自分で選べる状態に近づくために、私は資産形成を続けています。
公務員として働いている人にとっても、サイド FIREは決して遠い話ではないと思います。
むしろ収入が安定している今のうちから準備しておくことで、10年後、20年後の働き方を変える力になるのではないでしょうか。
【制度に関する注意】
公務員の兼業制度は、国家公務員・地方公務員で異なります。地方公務員については、各自治体の条例・規則・許可基準などによって取扱いが異なります。実際に不動産賃貸や副業・兼業を始める場合は、所属先の人事・服務担当部署などに最新の取扱いを確認してください。
参考資料
- e-Gov法令検索「地方公務員法」第38条
- 総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」(2025年6月11日)
- 人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」
- 人事院「自営兼業制度の見直しについて」(2026年4月1日施行)


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