公務員から民間企業へ転職するとき、私がかなり悩んだのが職務経歴書でした。
公務員の仕事は、民間企業と比べて成果を数字で表しにくい仕事も多いです。
「○○業務を担当」
「関係機関との調整を担当」
そのまま書くだけでは、採用担当者に何ができる人なのか伝わりにくいと感じました。
そこで私は、単に担当していた業務を書くのではなく、
「その仕事で何を考え、何をして、どんな成果につながったのか」
まで分解して職務経歴書を作りました。
実際に、この職務経歴書を使って民間企業への転職活動をしています。
この記事では、私が実際に作った職務経歴書をもとに、公務員の仕事を民間企業向けにどう表現したのか紹介します。

職務経歴書を作り始めたころは、「これまで担当した仕事を順番に書けばいい」と思っていました。ただ、それだけだと自分が何をできる人なのか、意外と伝わらないことに気付きました。
結論:公務員の仕事は「民間企業に伝わる言葉」に置き換える
私が職務経歴書を書くときに意識したのは、
公務員の仕事内容を、そのまま公務員用語で書かないこと
でした。
たとえば、
「イベントを担当した」
だけでは、具体的に何をしたのか分かりません。
私の場合は、実際に担当した仕事を、
- 企画立案
- テーマ設定
- 参加企業の選定
- 登壇者との交渉
- スケジュール管理
- 関係部署や委託事業者との調整
- アンケートによる効果測定
といった形に分解しました。
同じ「イベント担当」でも、ここまで書くと仕事内容がかなり具体的になります。
民間企業の採用担当者にも、
- 企画ができる
- 社内外との調整ができる
- プロジェクトを進められる
といった強みが伝わりやすくなります。
最初に「自分は何ができる人なのか」をまとめた
私の職務経歴書では、最初に「職務概要」と「得意とする経験・分野・スキル」を記載しました。
そこで軸にしたのが、
- DXの企画・提案
- 関係者との調整・合意形成
- プロジェクトマネジメント
です。
公務員は数年ごとに異動することが多いため、そのまま職歴を並べると、
「結局この人は何が得意なのか」
が分かりにくくなります。
私自身も、福祉、財産管理、環境政策、補助金、DXなど、かなり違う仕事を経験していました。
そのため、すべての仕事を同じように見せるのではなく、
これまでの経験を通して身につけた共通の強み
を最初に示すようにしました。

公務員の場合、「○○課で○年間働きました」と説明しがちです。ただ、民間企業の人からすると、その部署名だけでは仕事内容が分からないことも多いと思います。
「○○部署で勤務」ではなく、何をしたのかを書く
公務員の職務経歴書で気をつけたいのが、所属部署の説明だけで終わらせないことです。
たとえば、
「デジタル関連部署でイベント運営を担当」
だけでは、仕事内容がほとんど伝わりません。
私の職務経歴書では、
「自治体のDXニーズと民間企業のサービスをつなぐイベントを企画・主導」
という形で、まず仕事の目的を書きました。
そのうえで、
- 企業選定
- 登壇者との交渉
- スケジュール管理
- 関係者との調整
など、自分が実際に担当した仕事を書いています。
公務員の場合、
部署名ではなく「自分が何をやったか」を中心に書く
ことが大切だと思います。
「概要・担当業務・実績」の3つに分けた
私の職務経歴書では、各仕事を基本的に、
概要 → 自身の担当業務 → 実績
の順番で整理しました。
この形は、公務員の職歴を整理するうえで使いやすかったです。
たとえば補助金関係の仕事では、制度変更に伴って申請事務を円滑に進める必要がありました。
そこで私が担当したのが、申請者に分かりやすいWebページへの改善や、自動計算機能付きのExcel申請様式の作成です。
さらに、新しく導入されたビジネスチャットをチーム内で活用しました。
その結果、申請に関する問い合わせの削減や、円滑な補助金支給につながりました。
単に、
「補助金事務を担当しました」
と書くよりも、自分がどんな課題に対して、何をしたのかが分かりやすくなります。
公務員でも、数字で書けるものは数字で書く
職務経歴書を作る際、できるだけ具体的な数字も入れました。
イベントの仕事では、
参加団体数が前年比で約2割増え、約100人規模のイベントになった
といった成果を記載しました。
さらに、イベントをきっかけに自治体と民間企業の協業につながった事例もありました。
「イベントを成功させた」
だけでは、どの程度の成果だったのか分かりません。
数字を入れることで、成果の規模が伝わりやすくなります。
民間IT企業への出向時の仕事でも、
- 約100個の生成AI向けプロンプトを作成
- 100人以上の職員向けに生成AI研修を実施
といった具体的な数字を入れました。

公務員には「売上○億円」「利益○%増」のような実績はなかなかありません。それでも、参加人数や担当件数、改善件数などを探してみると、意外と数字にできるものがありました。
数字にできない仕事は「何が変わったか」を書いた
もちろん、公務員の仕事をすべて数字にすることはできません。
私の職務経歴書でも、数字を出していない仕事はいくつもあります。
たとえば、教育関連施設の財産管理に関する仕事では、現場の職員が利用するマニュアルを全面的に改訂しました。
その成果として、
- 担当部署への問い合わせが減った
- 報告書の差し戻しが減った
- 財産管理の精度が上がった
と記載しました。
具体的な削減率までは把握できていませんでした。
それでも、
「マニュアルを作成した」
だけで終わらせず、
その仕事によって何が改善されたのか
を書くようにしました。
数字がないからといって、成果を書けないわけではありません。
一見地味な公務員経験も、切り取り方を変える
公務員時代の仕事には、民間転職でアピールしにくそうに見えるものもあります。
私の場合、その一つが福祉分野での相談・支援業務でした。
そのまま書けば、
「住民への支援業務」
となります。
もちろん、それ自体が重要な仕事です。
ただ、民間転職という観点から改めて仕事を分解すると、
- 多数の世帯を担当する
- 定期的に面談する
- 個別の支援計画を作成する
- 医療機関や福祉施設と調整する
- 就労支援機関と連携する
- 利害の異なる関係者との合意形成を行う
など、さまざまな経験をしていました。
これは、
- 顧客対応
- 関係者調整
- 課題整理
- 交渉・折衝
といった民間企業でも使われるスキルにつながります。

自分にとっては「公務員なら普通にやる仕事」でも、細かく分解すると民間企業でも使える経験が含まれていました。自分では当たり前だと思っている仕事ほど、一度分解してみるといいと思います。
公務員の仕事に民間で使えるスキルがないのではなく、
公務員の言葉のままでは伝わりにくいだけ
というケースも多いと思います。
異動が多い公務員は、各仕事に「テーマ」を付ける
私の職務経歴書では、単に部署名を書くのではなく、各仕事にタイトルのようなものを付けました。
たとえば、
「教育関連施設の財産管理」
ではなく、
「教育関連施設における財産管理業務のプロセス改善」
としました。
環境分野の仕事でも、
「脱炭素政策に関するデータ分析と普及啓発事業の企画・運営」
という形にしています。
こうすると、採用担当者が見出しを読むだけでも、
「この仕事では何をしていたのか」
を理解しやすくなります。
公務員は異動が多いため、すべての経歴を細かく読んでもらえるとは限りません。
だからこそ、見出しだけでも仕事の中身が分かるように意識しました。
DXと関係なさそうな経験も、業務改善として整理した
私が転職活動をしたときは、デジタル分野を軸に求人を紹介してもらっていました。
ただし、すべての部署でDXの仕事をしていたわけではありません。
そこで過去の経験を振り返り、
「デジタルに直接関係するか」
だけではなく、
「業務を改善した経験があるか」
という視点でも整理しました。
補助金業務ではExcel申請様式を改善。
財産管理ではマニュアルを改善。
デジタル関連業務では生成AIの導入支援やDXイベントに関わる。
こうして並べると、仕事内容は違っていても、
「業務上の課題を見つけて改善する」
という共通点が見えてきました。
職務経歴書を書く作業は、自分のキャリアの共通点を探す作業でもありました。
応募するポジションに求められる経験を厚めに書く
職務経歴書を作るうえで、特に重要だと感じたのが、
応募するポジションで求められている経験を厚めに書くこと
です。
職務経歴書は、自分が経験してきた仕事をすべて同じ分量で書けばいいわけではありません。
まず求人票を見て、
「この会社は、どんな経験を持った人を採用したいのか」
を確認します。
そのうえで、自分の過去の経験の中から、求められている経験に近いものを詳しく書きます。
PMのポジションなら、プロジェクトを動かした経験を詳しく書く
たとえば、プロジェクトマネジメント(PM)に近いポジションへ応募する場合です。
私なら、イベントを担当した経験について、
「イベント運営を担当した」
だけでは終わらせません。
実際には、
- イベント全体の企画
- 関係者との役割分担
- 参加企業との調整
- 登壇者との交渉
- スケジュール管理
- チーム内での進捗確認
- 変更や課題への対応
- イベント終了後の効果測定
など、チームで一つのプロジェクトを進めるための仕事をしていました。
こうした経験を詳しく書けば、
「複数の関係者を巻き込みながら、担当者としてプロジェクトを前に進めた経験」
として伝えられます。
PMという肩書きがなくても、実際の仕事を分解すると、PMに求められる経験をしている場合があります。
求人票の「必須要件」「歓迎要件」から逆算する
PM以外のポジションでも考え方は同じです。
たとえば、デジタル・DX関連のポジションなら、生成AIの導入支援や業務改善の経験を厚めに書く。
企画職なら、新しい事業やイベントを企画した経験を詳しく書く。
調整力が求められる仕事なら、行政、企業、住民など複数の関係者と調整した経験を前に出す。
というように変えられます。
私は、求人票に書かれている、
- 仕事内容
- 必須要件
- 歓迎要件
を見ながら、
「自分のどの経験が、このポジションに一番近いか」
を考えるようにしていました。
大事なのは、応募先に合わせて経験を作ることではありません。
自分が本当に経験してきた仕事の中から、応募先が求めている経験との接点を見つけること
です。
公務員は異動が多いため、一見するとキャリアに一貫性がないように見えるかもしれません。
しかし、見方を変えれば、
応募先に合わせてアピールできる経験の引き出しが多い
とも考えられます。

私はまず汎用版の職務経歴書を作り、そこから求人票を見ながら「このポジションなら、どの経験を一番見てほしいか」を考えて調整していました。
使用できるツールや資格も最後に整理した
職務経歴書の最後には、使用経験のあるツールや資格もまとめました。
私の場合は、
- Microsoft 365
- Google Workspace
- Slack
- 生成AI
- Salesforce
など、実際に仕事で使用したツールを記載しました。
また、基本情報技術者や行政書士などの資格も記載しています。
特にデジタル系の求人に応募する場合は、
「どんなツールを実務で使った経験があるか」
も採用担当者が経歴を理解する材料になります。
使ったことがあるツールを大量に並べるのではなく、実際に仕事で使ったものを中心に書くようにしました。
今見返すと、もっと数字を残しておけばよかった
今回、当時の職務経歴書を改めて見返してみると、改善できそうな部分もあります。
その一つが、成果をさらに数字で表すことです。
たとえば、
「問い合わせ件数が減少した」
のであれば、当時の件数を記録しておけば、
「問い合わせ件数を○%削減した」
と書けたかもしれません。
仕事をしているときは、将来の転職活動まで考えて成果を記録することは少ないと思います。
しかし、転職を少しでも考えているのであれば、
- 担当した件数
- 参加人数
- 改善前後の数字
- 関係した組織数
- プロジェクトの規模
などを記録しておくと、後から職務経歴書を書くときに役立ちます。
公務員の経験は、書き方次第で見え方が変わる
公務員から民間企業への転職活動をすると、
「自分には民間企業で使えるスキルがないのではないか」
と不安になる人もいると思います。
私も職務経歴書を作るためにこれまでの仕事を振り返る中で、公務員の仕事にはさまざまな経験が含まれていることが分かりました。
- 企画
- 調整
- 交渉
- データ分析
- 業務改善
- プロジェクト管理
- 住民対応
公務員の仕事では、こうした能力をわざわざ名前を付けて意識することは少ないかもしれません。
しかし民間転職では、
「どの部署で何年間働いたか」より、「そこで何ができるようになったか」
を伝えることが重要です。
職務経歴書を書くときは、まず自分がこれまで担当した仕事を書き出してみてください。
そのうえで、
- なぜその仕事をしたのか
- 自分は具体的に何をしたのか
- その結果、何が変わったのか
の3つに分けて整理すると、職務経歴書が書きやすくなると思います。
そして、汎用版の職務経歴書が完成したら、それで終わりではありません。
求人票を読み、
「このポジションでは、自分のどの経験を一番見てもらいたいか」
を考えて、書く内容の厚みを調整します。
公務員の経験を無理に華やかに見せる必要はありません。
実際にやった仕事を、民間企業の採用担当者にも分かる言葉に置き換える。
そして、応募するポジションに求められている経験との接点を分かりやすく伝える。
私が職務経歴書を作るときに特に意識したのは、この2点でした。


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